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自分の駅舎建設現場とは別の支線の様子が無線を伝ってきて数年前の惨事が直ぐに頭に浮かんだ。
最初は僕らの現場のクレーン車とか手伝えることがあればと軽き気持ちで事故現場に向かった。
事故現場に着く前に、その場所は車道から程遠く直ぐに重機を持って来れないことが解ったけれど
そのまま引き返す気にもなれず何でもいいから手伝えればと体が勝手にその場所に向かっていた。
遠くに紅い車体が見えた瞬間、あぁこれはえらいことになったと悟った。不思議と興奮も恐怖も無かった。
現場では怒鳴り散らす人、オロオロする人、固まってただ眺めるだけの人、黙々と怪我人を運ぶ人、無線や携帯で連絡をとる人
様々だったけれどハッキリとした救命の指示を出す人は不明だった。普段ここの管理をしている人は連絡で忙しい様子。
先ずは怪我人を車体から引き出さなければと上下が逆さまになった車体に足を踏み入れた。地獄だった。
余りの地獄の様子にかえってここで起きていることじゃないような気がして血まみれのおじいちゃん、おばあちゃんを担いだ。
足元は元々列車の天井なので滑る。散らばっている血の所為で余計に滑る。バケツリレーのように呻く老人達を上へ上へと手渡しする。
見上げれば手渡ししている救助の者は殆ど年季の入ったこのエリアの人たちばかり。
若者は怖気づいたか。若しくは交通手段の無い山中を走っているのか。自分はそんなことを考えてばかりで只管老人を担いだ。
谷に斜めに落ちている車体は人の上に人が重なり、上から順に外に運び出すが、下敷きになっている下層の人ほど怪我が酷く呼吸が浅い。
一番下にいた最後のおばあちゃんは不思議と怪我が無く、バックを持ったまま寝ているようだった。
車内の全ての怪我人を引き上げた後気付けばそのおばあちゃんに心臓マッサージをしていた。
周りを見渡すと首を横に振って僕にもうしなくていいよと教えてくれた。
元は白だったのにこげ茶色に染まってしまったフリースをおばあちゃんの上に掛けた。
やがて怪我人を乗せるための列車が来て、担架の怪我人を乗せるのを手伝った。
頭上でヘリが舞っているのに気付いたあとカメラのシャッターを切っていた。